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翻訳雑記

フリーランス翻訳者と社内翻訳者

フリーランス翻訳者と社内翻訳者の違いについて述べてみたいと思います。

フリーランス翻訳者とは、組織に属さずに自営業者として働くプロの翻訳者のことであり、基本的には自宅やレンタルオフィスなどで翻訳作業を行います。

フリーランス翻訳者の多くは複数の翻訳会社に登録していることが一般的で、仕事の多くはエージェントである翻訳会社経由で請け負います。翻訳会社を通さずインターネットなどを駆使して自ら営業活動を行い顧客から直接受注することもあります。

顧客から直接翻訳案件を受注する場合、基本的に翻訳料金の単価は高くなりますが、営業活動や顧客とのやり取りが必要になり、また翻訳会社を通す場合は翻訳会社内で納品前の訳文チェックを行ってくれたりフィードバックを提供してくれたりすることもありますが、直接受注の場合は一人で翻訳作業を行っていれば訳文をチェックしてくれる人もおらず、訳文に対する責任は全て自分一人が負うことになります。

もちろん、フリーランス翻訳者は自営業者ですから翻訳作業以外にもある程度の事務作業や営業活動は必要になってきますが、翻訳以外の仕事にはあまり時間を取られたくないという翻訳者の方も多いでしょうから、翻訳作業に集中したい翻訳者にとっては、翻訳会社を通す方が一般的と言えるでしょう。

一方社内翻訳者とは、会社や法人などに雇われて社内に常駐して働く翻訳者のことを指します。雇用形態としては正社員・派遣・契約などがありますが、就業先には様々な業種があり、翻訳案件が定期的に発生するメーカーなどの企業で働く翻訳者や、翻訳案件を社内で処理している翻訳会社の社内で働く翻訳者もいます。

翻訳会社内で翻訳者として働く場合は様々な分野の翻訳案件に携わることもできるでしょうが、それ以外の企業で働く場合、翻訳文書は例えばマニュアルや設計書など、同じ分野の翻訳案件に継続して携わるということが多いようです。社内翻訳者であれば毎日8時~17時などの決まった時間に翻訳をし続けるわけで、ある程度の量もこなさないといけないでしょうから、自分の苦手な分野や嫌いな分野であれば仕事を続けるのも辛くなるでしょう。

ですので、社内翻訳者として働く場合は事前に会社の業種や具体的にどのような翻訳案件に携わるのかなどをよく調べた方が良いでしょう。

社内翻訳者は必然的に毎日翻訳に携わっているわけで当然レベルの高い翻訳者の方もいるでしょうが、レベルの高い翻訳者は独立する方も多く、また社内翻訳者は派遣社員や契約社員などの雇用形態で機械的に同じような内容の文書を翻訳するのでスキルが上がりづらいということもあるようです。会社によっては翻訳案件がずっと発生するか分からない場合もありますから、翻訳以外にも案件が発生していないときは事務作業などを行うこともあるようです。

社内翻訳者は給料をもらって働くサラリーマンですからプロ翻訳者という言葉は馴染まず、プロ翻訳者と言えば一般的にフリーランスの翻訳者のことを指します。プロの翻訳者にはフリーランスとして独立する前に会社員として社内でなんらかの形で翻訳に携わっていた方が多いですが、スキルアップのため(あるいは生活のため)に独立する前に社内翻訳者として働き経験を積むケースも多いようです。

また、オンサイトという就業形態もあります。オンサイトとは英語で”on-sight”、「現地で」「現場で」などの意味ですが、翻訳依頼元の会社(翻訳会社を含む)に出向いて翻訳作業を行うことです。一見社内翻訳者と似ているようですが、社内翻訳者はその会社に社員として常駐しているのに対し、オンサイト翻訳者は期間は様々(数週間~数カ月など)ですがある案件の間だけその社内で働きます。簡単に言えば現場の日雇い労働者のようなものですが、普段は自宅など自分で用意したスペースで働いているフリーランスの翻訳者でも案件によってはオンサイトで働く場合もあります。

オンサイトで翻訳を行う理由としては、翻訳原稿の機密性が高くて社外に持ち出せない、複数の翻訳者が同時に翻訳作業を進めその場で翻訳チェックや用語統一などを行う必要がある、社内の人間との詳細な打ち合わせが必要、PCやソフトなど特殊な作業環境が必要などの理由があります。

社内翻訳者にも給料が安定している、同僚や上司からのアドバイスが得られる、規則正しい生活が送れるなどのメリットがありますが、フリーランスの翻訳者であれば働く場所や時間を選ばない、引き受ける翻訳案件や分野を自分で選択できる、歩合制なので実力があれば稼げるなど、社内翻訳者であれば受けられない恩恵を受けることができますから、最終的にフリーランスを目指す翻訳者の方が多いのは当然のことと言えるでしょう。